フェミニズム書評を書くのは調べ物が9割! 正直めちゃめちゃ疲れる!
ということで読書記録を書いてみた。
シャオリューが読んだ本と感想に興味がある女たちだけ読んでくれよな!
「自己決定権」という罠
Twitterの中でおすすめされていたので図書館で借りた!
多分色んな図書館にあるので、未読の方は偉い先生の本だと構えず、知識ゼロで本を開いて欲しい。
「せんせ、臓器移植ってどういうことなん?」読みながらそう質問したくなると思う。
脳死状態だろうが内臓を損なうと痛みを感じるというのは、臓器手術が利益につながる病院にとっては不都合なことだろうというのは想像に難く無い。
ただこの本までの内容ならフェミニズムで履修可能かなあ。
女が臓器移植をボイコットする理由なんて、代理母と子宮移植の件だけで充分やん。
でも繰り返すが目を通して損はない。普通に良本。
ただフェミニスト的には一気に読了はできなかったけども。
俺の中のラディカルな部分やアナーキーの部分から湧き上がる憤る感情を、落ち着かせる必要性があったので。
察しのいい女たちはお分かりかもしれない。
男性で年配でお偉い先生さまの根底には、すべてのひとには再生産する権利を持ち得ているという思想の上に成り立っていたからだ。
その現代的で論理的なすべての人間の権利の中に、女性は今も含まれていないという自覚がない。
その不都合な現実をかえりみることなく、自己決定権は危ないということを語れるのは特権以外の何でも無いやん?
……まあ先生含む男たちには、番っても産んでもいない未熟な女が、何にこんなに憤っているか訳わからんやろうし、理解できるとは思えない。
法律でも結婚している女性が堕胎するには夫の許可がいる。
だけど法律でそうなっているからといって、それが正しいとは限らない。
それこそナチスは民主主義から産まれた事実が、そのことを証明してる。
再生産の機能を持つ女性が自身で再生産するかどうかを決められない歪さに気づきもしないなら、男に語れるのは『死』だけだ。
『母になって後悔してる』という本が生まれたのは道理だな。
魔女 女性たちの不屈の力
魔女狩りは未だ終わっていないことを知れる良本。
在住市の一番大きい図書館に入ってた。
は〜〜〜〜ありがてえ〜〜!!
でも図書館よくこんな本入れられたね? と心配するくらいラディカル全振り。
この調子で5千円超えで電子書籍もない『キャリバンと魔女』を入れてくれていいんだよ?
普通のアジア人にとって『魔女狩り』とは教科書で一、二行見るだけなので言葉は知っててもよく知らないのは当然なんだけど、実はヨーロッパでも矮小化されてるってのはちょっとどころじゃなくビビる話だ。
魔女狩りは1400年頃に始まり、18世紀末まで続いたとされている。
処刑された犠牲者は、現在5〜10万人だと推定されているが、この数字の中にはリンチ、自殺、獄死は含まれていない。
1970年代では犠牲者数は100万人か、それ以上と考えられていたが、どう考えてもそちらの数字が事実に近しいだろう。
いわゆる火炙り以外の犠牲者を、『魔女狩りの犠牲者』にしたら人類史最悪の女性大量虐殺がキリスト教のせいだってことになるから都合が悪いのだろうか?
宗教、控えめに言って狂気すぎる。
日本人だって江戸時代の理不尽に心寄せたりはしないだろって言われそうだけど、普通にするよ。
俺はフェミニストで、セックスワークなんて全部人身売買だと分かっていて、しかも売られていたのは女の話なので、女の人身売買で成り立っていた日本の歴史を肯定することはできない。
江戸幕府なんて英語にすりゃ『江戸軍事政権』。
この列島は中国共産党やクレムリンなんて目じゃないくらい長く続いた軍事政権に長い間支配され、次は近代軍国政府、今は戦争責任も取らなかった末裔共が巣食ってる。
この国の男どもはいつだって女を売り捌き、国家という名の軍事政権の資源にしてきた。
俺はこの山ばかりの貧しい国で売られて捨てられてきた、数多の女たちの末裔だ。この国の男どもよりヨーロッパの燃やされてきた女たちに思いを寄せるのは当然のことだと思う。
あとはもうすぐ四十歳っていうのもあるかも。
『魔女狩り』は家父長制の財産としての娘の価値も、再生産の機能がなくなって母にもなれない年齢になった、家父長制にとって何にも利用できない女性を「始末」するための最高のシステムだった。
知識と経験があり男に簡単に騙されない女が大勢いたら、再生産の機能を男たちが支配する資本主義を進めることは叶わなかっただろうね。
現在に至っても、いわゆる出産適齢期を過ぎようとしていてまだ男に分配されてもなく再生産機能を使わない自分みたいな女を、社会は想定していない。
そして西洋の火炙りはもう過去のものだけど、日本では今も女の売買が続いている。
そして現在も形を変えて、気に入らない女たちの口を塞ぐシステムが蔓延っている。
魔女狩りは過去の話では全然ない。
俺の考えるこの本の特筆すべき素晴らしいところは、結婚と出産ってほんまにせなあかんか? せんくって良くないか? と繰り返し言っているところ。
俺が冒頭でこんな本図書館に置いて大丈夫? って心配したのもコレよ。
有名どころが書いた十把一絡げのホワイトフェミニズム本だと、ちゃんと結婚してちゃんと子供も産んで仕事もして☆キラキラの人生を謳歌しよう♡みたいな、大多数の市井の女性という資源の上に成り立つ上流階級の暮らしを、私ができたんだからあなたも努力すれば叶うッ!って言ってくるじゃん?
そりゃ自己啓発本としてなら否定はしないけど自慢本と言った方がいいような妻と母親の話しかしない本を、フェミニズム本として名乗ってる系の本ね。
俺が若い頃なんて地方の図書館は、そういうキラキラ☆ふわソファ自慢本しか『女性問題』の棚になかった。
ラディカルなフェミニズム本がポツポツ出版され始めて、図書館でも読めるようになったのなんて、めっちゃここ最近。
……美とミソジニーが10年前に図書館に入ってたら、俺の人生は変わってた。
その時あったのに読まなかったなら俺がのせいで済むけど、実際は英語圏じゃない第三世界に産まれたからじゃん⁉︎
Twitterで韓国姉さんたちに出会わなかったらどうなってたか、感謝してもしたりない。
これからも世界の色々な本を読みたいけれど、経済衰退国日本で翻訳本がどうなるか不安だ……。
それと日本語圏で『エコ・フェミニズム』の内容をここまで読める本多分なかったと思うので、軽く履修できるのも本書のとてもありがたいところ〜!
知識ゼロのナンノコッチャイ状態でも大丈夫。
本文内スーザン・ボルドー著“The Flight to Objectivity”からの引用読めばわかる。
近代科学の創始者たちは、明らかに意識的に科学の『男性性』があらたな時代を開いたのだと主張し、そのうえで男性性をより清潔で、より純粋で、より客観的で、規律ある世界との認識論的関係に結びつけた。
The Flight to Objectivity
つまりエコ・フェミニズムは単純に地球温暖化や地球環境のことだけを考えている訳じゃなくて、科学を正当化するために貶められた自然=女性の復権も担っている。
トンデモ科学は有害じゃね? と思ってたんやけど、これについては同時に借りていた『「女の痛み」はなぜ無視されるのか?』が役に立った。
この本はフェミニズム本というより出産の本なので借りて失敗したな〜と思ったが、病院がどれほど医学に女の身体を嵌め込んで殺しているかを知るための役には立った。ただ4Bやってる人には『存在しない女たち』があれば充分。
繰り返すが、魔女狩りは今も行われている。
今も言われてるやん? 『ツイフェミ』、『TRAF』、『ま〜ん』……。
ジャンルや流行りで様々な呼び方があるけど、根絶したことだけはない。
俺が『フェミニズム』や『フェミニスト』を名乗るのを辞めないのは先人の女たちが繋いできた言葉を奪われないためだけど『魔女』の方が名は体を現しているかもしれんな。
「女の痛み」はなぜ無視されるのか?
先述したけど非産、反出生は読まなくて大丈夫!
日本では2019年に発行された『存在しない女たち』を超える、女性の痛みに特筆したフェミニズム本いまだ無し!(俺調べ)
ブラックによるホワイトフェミニズムの本は『「女の痛み」はなぜ無視されるのか?』と『二重に差別される女たち』の二冊読んだけど正直もううんざり。
世界で一番差別されているのはブラックの女性だ! って思ってるなら事実じゃない上に有害やから、有色人種の代表面しないでほしいわ。
ブラックとイエローの問題は根本的に全然違う。
彼らには成功したアジア人しか見えてないのかもしれないけど、良い子ちゃんを演じ続けて生き延びてきたアジアンは、いまだに『アジア人の命も大事だ』っていうこともできないんだぞ?
イエローは世界のNon Player Character。
自分の人生を生きたいなら、男性優位社会に逆らって、魔女、ツイフェミ、TRAFと呼ばれる道を選ぶしかないんだよ。
4Bは魔法でも特効薬でもないけれど、女を再生産資源にしている資本主義社会を只の女が現実的に確実に生き抜くための唯一の生き方だ。
ブラックとホワイトの女たちが、ヘル・コリアから始まった新しいフェミニズムに追いつくのを祈ってるよ。
来月も本読むぞー!!!!
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